音楽水車プロジェクト

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“自然の水流で回る水車で音楽を奏でさせる”

そもそもは、30年近く前に東京都三鷹市の水車、「しんぐるま」を見た時の衝撃が始まりです。一つの水輪の回転が、複雑に絡み合う無数の木製歯車や木のシャフトによって、10数個の搗き臼、2つの挽き臼と、「ふるい」や「せりあげ」などの仕組み一切を動かし、精米、製粉までをオートメーションで行う様はまさに圧巻で、歯車たちの動きから視線を外すことができませんでした。生活の営みの中で工夫が重ねられたものの持つ、凛とした美しさに心奪われ、水車から聴こえる音、歯車やふるいのたてる心地よいリズムにしばし時を忘れました。

その後、演奏家としての活動を続けるうち、いつの日か「音楽を奏でる水車を作って人間と一緒に共演する」、という夢を持つようになりました。雨は山に降り、森を潤しせせらぎとなり、流れを集めて川となって陸を流れ、海に注ぐ。そして太陽に温められて蒸発して空の雲となり再び雨となって山に降る。この地球の壮大な水の循環の途中で、水車はそのエネルギーをちょっとだけ借りてくるくると回ります。水車の回転は地球のサイクルそのものを象徴するとも言えるでしょう。水車と、人間が一緒に音楽を奏でるという光景は、想像しただけで胸が高鳴ります。

水車の軸の回転が、たくさんの歯車やプーリーで、速さや向きの違う回転、あるいは上下運動に分かれて、様々なカラクリによって、色んなものを「叩いたり」「弾いたり」「揺すったり」して音を奏でます。「ふいご」を使えば「吹く」音を鳴らすことも可能でしょう。ランダムに音が鳴るだけではつまらないので、歯車の組み合わせでテンポとリズムを制御し、メロディー、ハーモニーの要素も出せるようにし、自動演奏ができるようにします。水車小屋をまるごと建てるわけですから、1曲しか演奏できないのでは、対コスト・パフォーマンス悪すぎなので、"Programmable"な機構にして、いろんな曲が演奏できるようにしようと考えています。「巨大木製水力シーケンサー」ですね。かなりハードル高いです。でも、やるからには"Challenging"なものにしないとね。

水車という、言ってみれば「伝統技術」にインスパイアされたプロジェクトだから、水車の民俗史、技術史に学ばなきゃならないし、実際に建てる地域の水車の歴史を掘り起こすことも不可欠です。材料は地域の木材や竹など地場産を基本とし、地域の大工さん、林業・土木関係の方々など、「地域力」を結集するものになるべきと考えます。一方で、精米、製粉などの地域の伝統的水車の復元ではなく、「聴いて楽しい、見て楽しい」新しい水車なので、ミュージシャンやアーティストなど、地域外からの人間が関わるプロジェクトという側面を持ちます。学生さんなども巻き込んで、「地方と都会の交流の場」となったらそれはとっても楽しいことなんじゃないでしょうか?地方の人と都市の人が一緒になって「これまで(過去)」と対峙し、「これから(未来)」を考える、素敵なプロジェクトです。水車が回るためには自然の水が豊かであることが必要で、そのためには山と森が豊かであることが不可欠です。楽しく夢を膨らませながら、同時に「真の持続可能な生き方」を模索する行為でもあるわけです。

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